スペシャリストに大切なこと

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ヴァル研究所 Advent Calendar 2021  2日目の記事です。

はじめまして、MaaS事業部MaaS App & Data Teamの竹田です。また、2020年からはヴァル研究所のスペシャリストとして活動しています。

【スペシャリストとは】
職務遂行能力、知識・技術のレベル、業績に対する貢献度において極めて高く評価される社員の職層として設けられています。

この記事では今まで仕事してきた中で「これは重要だ」と心がけていることや、スペシャリストとしてあるべきことをまとめていきますので、興味を持っていただけたら嬉しいです。

まず最初に、私は技術者ですが、ヴァル研究所に入社して最初に配属されたのは、なんとカスタマーサポートでした。
これは会社からの嫌がらせとかなんでもなく、「あなた知識豊富だし、人当たり良いからサポートに入って」とのことでした。
ただ、サポートなんて経験もあるはずなく、さらに電話やメールでの問い合わせ対応と不安がいっぱいでしたが、意外とこなせることが分かりました。

  • 基本的に出来ないことではなく、出来ることで話す

    例えば、下記です。
    △△は出来ません」は最悪です。出来ないことをアピールしてもユーザーには響きません。
    は出来ませんが、○○なら出来ます。」でも不十分です。出来ることを言うことは重要ですが、出来ないことを最初に言ってしまっているので、マイナスから入ります。
    そのため、単純に出来ることだけ言う「○○が出来ます。」が良いです。
    実は、△△が出来ないことは事実なのですが、△△が出来ないことではなく、〇〇が出来ることに話題をすり替えていることが大切です。

その後、部署異動があり、カスタマーサポートの次は受託開発でした。
まあ、最初から開発志望だったので、これは良い異動だったと思います。
そのときに重要になったことはこちらです。

  • 先方の言うことは絶対ではなく、現実的に出来る機能へ落とし込む

    これは通常、先方が目的ではなく、イメージしている機能として言ってくるからです。
    例えば、「写真などを共有したい」と思っていた場合、「ログイン機能を作ってお友達を招待できるようにしてほしい」→「SNSでログインできるようにしてほしい」→TwitterFacebookGoogleは必須だよね。Sign In with Appleもほしいな」とどんどん膨らんでいきます。
    いつの間にか「写真などを共有したい」から「SNSでログイン」にすり替わっていますね。
    まあ、この分、お金もらえるなら良いのですが、個人情報保護に気をつけないといけないですし、不正アクセス等発生したら余計大変です。
    そこで、「画像をアップロードしたらそのURLが発行されて、直接アクセスすれば同じことが出来ますし、納期や見積もりもかなり圧縮できます」とでも提案してみましょう。
    ここで「SNSでログイン」が絶対なのであれば納期や見積もりが大掛かりになることも理解してもらえます。
    もし、考え直してもらえそうであれば、更に追加でコメントします。

    1. 画像をアップロードする際はSSLで暗号化されるので、傍受されることはない
    2. 発行されたURLは非常に長く、予測も出来ないため、不正アクセスされることはまずない
    3. URLの共有なので、受け取る側がアカウント持っていなくてもアクセスでき、受け渡しが楽(必要であればQRコードを生成して受け取り側に読み込んでもらえばOK)
    4. 「LINEで送る」ボタンなどを用意しておけば、SNS連携は十分
    5. 最大の理由はアカウント管理がなく、不正アクセスに強いので、個人情報の流出などの問題はまず考えなくて良い

    いずれにしても、完成後の状態をイメージすることが大切です。
  • スケジュールはある程度余裕を持っておく

    見積もりは1日8時間とかではなく、5時間程度になる前提で見積もります。
    というのも、必ず不具合などが見つかり、足が出るからです。
    ただ、スケジュール通りに納品するのではなく、少し早めに検証等は済んでいませんが、概ね機能が完成したので確認をお願いします」と言って見てもらいましょう。
    もし、不具合が見つかったり追加要望が出ても対応できますし、見つからなかったらそのまま納品できて、残りの日数は遊んで安心して過ごせます。


そして、次は現在の自社製品等になるのですが、これもポイントをリストアップしていきます。

  • 仕組みより、まず動くものを作る

    アーキテクチャがどうとか、テストがどうとか、そういう重要な点もありますが、動くものがなければやっていないのも同然です。
    アーキテクチャ設計やテストが目的であればそれで良いのですが、それらは手段で、目的はモノを作ることです。
    そのため、多少荒削りでも、考えられる最低限の機能で良いのでプロトタイプを作り、プロトタイプからアーキテクチャ設計やテストに落としていけば手戻りも少なく、十分です。
    ※場合によっては医療系や金融系など、ミスが許されないものはアーキテクチャ設計やテストをしっかりと行うべきとも思います。

  • フルマネージドサービスは積極的に使う

    サーバー管理とかってとても大変ですよね。
    なので、徹底してオンプレミス・IaaSは使わない方向で考えます。
    もし、どうしても使わなければならない状態になった場合でも設計から見直して、「どうやったら使わなくて良いか」を考えます。
    Be Lazy(≒楽をして)」ということをよく聞きますが、こういった楽できる仕組みは重要です。

  • ライブラリは必要最低限にする

    ライブラリって使うと楽なのは分かりますが、ライブラリもソフトウェアの一部であり、不具合が一つもないということは考えられません。
    そのため、自分でライブラリが作れそうであれば安易に既存のライブラリを使わず、ライブラリを自作するのも手です。
    ライブラリを自作すればどのように処理が行われているか分かりますし、使いやすいように改変することも楽です。
    ちなみに、その時作ったライブラリ等をOSSにしたりもしました。
    なお、AWS SDKのように巨大で自分で作るのは難しいと判断した場合は迷わずライブラリを使います

最後にスペシャリストになってからの考え方を紹介します。

  • 残業はするべきものじゃない

    まずは例として飲食店で提供された料理の味と価格の関係です。

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    この中で最も悪いのはまずくて高いAになると思います。
    ではその逆はどうでしょうか。
    一見、「美味しいものは高い」というイメージからBと思う方もいらっしゃるでしょう。
    でも、全く同じ品質のもの(たとえば、産地も年代もブランドも同じワイン)だとしたら「高いよりも安いほうが良い」となり、Dになるかと思います。
    ※そうでないなら「高ければ高いほど美味しい」となり、グルメガイド等は不要なはずです。

    上記を総合すると一番悪い場所の反対が一番良いものになります。

    これを人件費と成果に置き換えるとどうでしょう。

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    やはり成果は必要で、品質が悪かったり納期に間に合わないことが一番良くありません。
    しかも、その社員がとても残業していたのなら、会社にとっても高い人件費をかけていたのに成果が出ないことになります。
    となると一番悪いのはAになるかと思います。
    ※時間をかけていないことも問題になりますが、これが下請けの作業だったら圧倒的にAの信用がなくなります。

    以上のことからAの反対であるDの「残業していないのに成果は出ている」が一番良いと考えられます。

    まあ、これらの内容は極端なので、実際には様々な要因などもありますが、「無理して残業することと成果については直結しない」と考えています。

    よく、「あの人残業しているからよく仕事している」と見られがちですが、「残業しなければならない状態は何らかの問題が発生している」と考えるべきです。

    これらの考え方もヴァル研究所が与えてくれたものなのかなと思います。

  • 時間は有限であり、その中にはプライベートな時間も含まれる

    仕事は大切です。
    ただ、プライベートがそれ以上大切なこともあります。

    18時に退社する」と考えた場合、本当に18時に退社出来るものでしょうか。
    仕掛中の作業があった場合、途中で止めることが出来なかったり、止めてしまうと翌日の作業に影響が出てしまうことがあります。

    そこで考え方を変えてみましょう。

    明日できることは今日やらない

    これは、「明日でいいや」ということではなく「明日テストなのに部屋の掃除をしてしまう」ということはしないということです。
    テストは明日しかないのに明日でも出来る掃除を優先するのは最善ではない」ということです。
    同様に明日納期なのに今日やらないのは駄目ですが、明日でも間に合うなら今日はやらないという手もあります。

    実際、その日にこなせる仕事を朝から決めておいて、時間が余ってもそれ以上やらないようにしています。

最後に、ヴァル研究所のスペシャリストには下記の特典があります。

  • 働く時間は自由(時間の制約なし)
  • 働く場所も自由(自宅でも、コワーキングスペースでも、温泉旅館でもOK)
  • 有給休暇もしっかり取得できる(出勤日数の概念はあるので)

スペシャリストになってからは、かなり働きやすいと感じました。「こんなヴァル研究所で一緒に働いてみたい」と感じた方はぜひジョインしてほしいです。

さて、明日はMaaS事業部MaaS Platform Teamの伊藤の「Slackで受けてTrelloで捌く、我流タスク管理術の話」がテーマの記事です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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